化学物質

December 01, 2007

構想で失敗した環境学習実験 1

 現在、私は埼玉県環境科学国際センターにおいて、非常勤講師として講座を持たせていただいている。環境学習ネットワークや夏休みの小中学生向けの環境科学自由研究のアドバイスと講義、年一回の県民実験講座を行っている。以前にも書いたと思うが約10年目を迎えている。

 この環境学習施設で年一回、私の勝手気ままにできる環境実験教室は大変ではあるが楽しみなものだ。毎年、定番実験のほかに参加者に「驚き」と「学び」を得てもらえる実験を一つは取り入れようと思案している。

 私の実験テーマは「身近な化学物質」である。何か「化学物質」と聞くと「毒」のようなイメージを抱く人も多くいるようであるが、決して私はそれを悪者として扱うことはない。

 人類は、化学物質のおかげさまで、便利な生活を享受したり、病気や衛生問題から解放されてきたのである。しかし、両手ばなしで喜ぶつもりもない。メリットがあればデメリットがあり、薬害、公害病、生物種の絶滅への寄与など上げればきりがない。

 とにかく、私たちは「化学物質」と付き合うには、ハザードを知り、リスクとベネフィットをいかにバランスさせることなのだ。

 さて、前置きが長くなってしまったが、生業として一番長い経歴を持つものとして化学分析が上げられる。特に食品関連は思い出が深い分野である。
 残留農薬、有害重金属、食品添加物、栄養分析などを行っていたわけであるが、食品添加物は食品の衛生性を保つために用いられるもの等のほかに、食味を良くするものも大量に使われているのも事実である。
 
 食品中の簡単な着色料の試験、亜硝酸根、リン酸根などの実験を参加者に行わせたりしてきた。
 これら化学物質は法規上は悪者ではないので、刺激しないと言うか行政上の立場で、やんわりとお話をするわけだ。 

 こういった実験の中で、いつも不完全燃焼で悔しい思いをしているのが、有害化学物質を簡単な実験で、しかも、食品との関係の中で説明できるものを作り出せないことに苛立ちを感じている。

 貝を使った水質浄化実験は、いろいろな自治体の実験教室で実施されていることは周知のことだ。私も数回、行っている。アサリ、シジミ、タニシなどを使って用はCODの高い水質を改善できるか。濁りが取れるかなどを行うわけである。
 細かいところで、実験のノウハウは沢山あり、簡単にやろうとして失敗することがあるので実施される方は注意が必要だ。比較的、タニシは上手くいくのでお勧めだ。

 さて、上記の実験はCODの原因物質を食卓に上るであろう、アサリやシジミが食べてしまうから、水がきれいになるわけだ。もし、このCOD原因物質が有害化学物質だったらどうだろうか?
 そんな、発想から、生体濃縮を教えて、有害化学物質はいつの間にか知らないうちに極微量だけれど体内に取り込まれることを、学んでもらいたかった。

【失敗実験】

【対象生物】
  シジミ、アサリ

【試薬】
  食塩
  メチルブルー
  COD:米のとぎ汁
  CODパックテスト

【試験法】
  ①正常な状態での貝を解剖し、状態を観察させる。
  ②貝を海水、もしくは淡水の中に放置する。
  ③このときのCODを測定する。
  ④米のとぎ汁を加えCODを測定する。
  ⑤メチルブルーを模擬化学物質として加える。
  ⑥1.5~2時間後に貝を取り出し、解剖し状態を
  観察させる。
  ⑦染色されいれば、化学物質が貝に取り込まれ
  固定されたこと確認できる。
 
【実験まとめ】
   自宅で何回も生きた、シジミ、アサリなどを用い
  て実験を繰り返したが、メチルブルーでは染色でき
  なかった。
   たまたま、染色液がメチルブルーが手持ちにあり、
  使うしかなかったと言うだけで、組織染色が貝類が
  摂食する際に、よく染色できる染色液を用いれば問
  題なく実験は成功したと思われる。
   次回はトリジンブルーを用いて組織染色をする予
  定である。

 このように、構想で失敗している実験が多数あるので、折を見て紹介していきたいと考えている。
 トリジンブルーで成功すれば、生体濃縮や化学物質は生物に取り込まれ、そして自らの口から体内に吸収さることを学んでもらえるのではと考えている。

 応用実験を実施される方は、ご連絡をいただけると幸いです。今後、参考としたいと考えています。

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November 23, 2007

「真実とは?」

 二年前になるが、小学校一年生になったばかりの姪っ子がよく喋るようになってきたころ、おばあちゃんとの会話でパンの話をしたことを当時、聞かされた。ふとそれを昔の原稿を見て思い出した。
 「Yパンのパンは買っちゃいけないのよね。Fパンは少しはいいけれど。」などと話したのだそうである。
 
 この小学生一年生が話ネタとして使ったのが、一九九九年五月に発行された「週間金曜日」別冊ブックレット「買ってはいけない」からである。発行から8年を経ているが、この本が発行された当時、大きな反響があり、文芸春秋から「買ってはいけないは買ってはいけない」などというものが出版されバトルがあったことを思いだした。
 私自身もこの本のページをめくってみた。なるほど、かなり挑発的である。内容についても違和感があることを否定できない。

 この種の日常の中の食品や化粧品、薬、日用品やそれらに含まれる化学物質の健康リスクに対して警鐘的な出版物は内容の正否評価が難しい。すべてが真実であるかというと少なくともそうではないこともあるからだ。
 
 ジャーナルは科学書ではない。主観的な評価が含まれる。また、執筆者も公正なジャーナリストから活動家、御用学者、業界の関係者など様々である。結局のところ自身のスタンドポイントで論理展開していくからかみ合うはずもない。

 健康リスクについては、現在までの科学的知見が少ないものが多く、先端の研究者でさえ見えていないことが多いのが現状である。新しい科学的知見が得られると肯定されることも否定されることもあるのが事実なのではないか。

 この手の出版物の執筆者は、ジャーナリストも含め、ある程度の専門家ではあろう。しかし、ほとんどが直接取材も含め、科学論文、他の著作などからの二次データを加工していることがほとんどではないだろうか。
 中にはもちろん、執筆者自身の研究からデータを列挙している例もあろうが。

 ちなみに、地球温暖化を含めた地球環境問題についても、最近、出版物を通じた相当なバトルが繰り広げられていることも見受けられる。
 科学は本来、真実、真理、理論を構築し、人類文明に寄与するためのものではなかったろうか?科学で中傷や相手を論破するだけでは何も生み出されないと私は思う。

 二次データに触れる機会の少ない能動的な読者は結局のところ、鵜呑みにして生活の中で気を使うことにもなろう。
 火のないところに煙は立たないが、その内容が科学的な真実であるかは、現実問題として学術的に掘り下げ、継続的な研究をしていかなければ解らないのである。
 私自身は健康リスクを意識することが重要と思っている。現在はインターネットを含め、情報が得やすい状況だ。専門家に質問することも含め自分のスタンドポイントを明確にして、躍らせずに自分自身のベネフィットを見出してほしいと思う。

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December 25, 2005

シャワールームに潜む化学物質

 日本人は風呂好きの民族と言われている。筆者が幼いころは銭湯が自宅のそばに数軒あったことを覚えている。今は浴室の無い家やアパートは無いに等しいと思う。
 使われ方も変わってきていると思われる。湯船の湯に浸かり日々の疲れを癒すという使われ方の反面、簡単にシャワーで済ませてしまうという使いかたも極当たり前になっている。
 風呂好きの筆者も夏の暑い盛りには湯船に浸かることは殆どなく浴室はシャワールームと化すのである。

 さて、前置きが長くなってしまったが、このシャワー利用に関して注意しなければならポイントがあるのだ。

 一般に自宅の浴室の給水は水道水であろう。水道水以外を用いている方は参考程度に読み飛ばしていただきたい。
 さて、この水道水は浄水場で塩素で殺菌消毒され各家庭に給水されている。法律では末端給水栓で0.1ppm以上の残留塩素が検出されなければならないとなっている。
 
 この殺菌消毒に用いられている塩素であるが実は水道水中の有機物質により生成されたメタンと反応し、トリハロメタンという消毒副生成物を生成することが知られている。トリハロメタンはクロロホルム、ブロモジククロロメタン、ジブロモクロルメタン、ブロモホルムの四物質の総称で、揮発性の高い物質であり、一般に水温が上昇すると生成量が多くなることも知られている。クロロホルムは発ガン性が指摘されている物質でもある。また、日本では各種の法律で総トリハロメタンの水質基準が設けられている。

 ここまでの話で察しが着く方がいるかと思うが、さらに話を進めよう。 シャワーの利用はボイラー等の給湯器中でトリハロメタンが次々に水道水中に生成される。次に細くなったシャワーのノズルからトリハロメタンを含んだ温水が放出される。
 揮発性の高いトリハロメタンは湯気とともに浴室内の空気中にへ放出され、見る見るうちに浴室内の空気中のトリハロメタン濃度は上昇することとなる。

 過去の学術発表の中で、浴室内のトリハロメタンを測定した結果が報告されている。また、浴室ではないが室内温水プールにおいてもトリハロメタンが上昇していたとの報告もある。
 これについてはプール水は通常の水道水よりもはるかに高い次亜塩素酸で消毒されているのでおそらくトリハロメタンの精製は高くなることが考えられる。
 とにかく水道水やプールの衛生性を保つために塩素の消毒が必要なことは理解しなくてはいけない。とにかく塩素消毒がある限り解決することはトリハロメタン問題の解決は困難であろうと、筆者は思うのであるが。。

 この浴室内中の空気ににトリハロメタンがあるからといって直ちに健康に悪影響を与えるものではない。
 しかし、不必要な化学物質を極微量であっても知らないうちに呼吸により取り込むことはいやなものである。
 特に気にする方にはシャワー利用の際は浴室の換気に注意することをお勧めしたい。

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November 15, 2005

「化学物質過敏症について思う」

 05'年4月16日の朝日新聞夕刊に小さな記事であるが目を引いたものがあった。

 「迎賓館の農薬散布悩まし 近くの過敏症の中3通学に支障」というみだしであった。

 化学物質過敏症の中学生が通う中学校付近に国賓を迎える迎賓館があり庭木の手入れのために農薬散布するという。それが障害となり通学が困難となっているというものである。
 
 にわかに、化学物質過敏症という言葉も社会的に認知されつつあるが、その実態はあまり知られていないのが現状であろう。詳細については化学物質過敏症の専門のサイトを参考にしていただきたい。検索エンジンで化学物質過敏症と入力すれば多くのサイトにヒットするのでお願いしたい。

化学物質過敏症支援センター http://www.cssc.jp/
化学物質問題市民研究会 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/sick_school_master.html
上記など

 さて、化学物質過敏症の概要を話そう。化学物質過敏症とは特定の化学物質に対して過敏に身体が反応し、痛、めまい、吐き気、倦怠のほか神経症状など個人によって異なるが様々な症状を惹き起こす。発症のメカニズムは今のところ正確には解明されていない。

 一般的には体内に蓄積された化学物質がその個人の閾値を超えてしまうと、免疫系に何らかの異常を生じ発症されるといわれている。
 男性よりも女性のほうが発症の確立が高いとも言われている。また、日本国内には化学物質過敏症を専門とする医療機関は非常に少ないという。また、決定的な治療方法も確立されていないのが現状である。

 現代社会は大気、室内空気、水や食品から知らず知らずの間に個々は極微量であるが化学物質を摂取している。安全性を前提としている医薬品であっても主剤以外の添加物を使用している。総量で考えると極微量という表
現ではなくなるだろう。代謝により体外へ排出されるが脂溶性の高いものなどは脂肪中に残留することになる。

 私たちの生活を取り巻く化学物質は多様であり有毒であっても必要なものも多く存在している。
 一概に何が毒性があって危険であるから使用せずに排除しなければならないという理論もあろうが、仮にその化学物質の代用品がないのならば使用しないというのも、おかしな話である。きちんと管理し、人体や環境に問題が生じないようし、代替になるものを探していくのが筋道ではないだろうか。

 現時点では、使用されている化学物質は計り知れない、現時点で出来ることは、体内へ取り込まれる化学物質の量を極力抑えることを常に考えておくことである。
 このことが化学物質過敏症のリスクを減らすことに繋がることになろう。もう一度、生活の中の化学物質を点検してみてはいかがだろうか。

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November 10, 2005

「室内の二酸化窒素被爆」

 今年は春のシーズン中、花粉症に罹患している方は花粉の飛んだ量が過去になく多く、つらさが倍加してたのではないだろうか。この花粉症、ある研究では大気汚染と関連があるのではないかという報告がある。大気汚染で近年特に問題視されているのが浮遊粒子状物質と二酸化窒素である。ともに、喘息等の呼吸器系疾患の原因となる。また、二酸化窒素は体内の活性酸素を増加させるのではないかとも言われている。
 花粉症の話に戻るが素人考えで失礼するが、「二酸化窒素はそれ自身が酸性ガスである。それが粘膜を刺激して過敏な状態にすることが一因ではないか」などと勝手に思っている。
 ともかく、二酸化窒素に暴露されているのは呼吸器疾患の発症が無くとも体に負荷を与えていることを認識したい。

 ようやく環境対策としてNOX・PM法による自動車排気ガスに対する規制が動き出した。このことは都市部の大気汚染が一向に改善されていない地域にとっては朗報であったことと思う。今後どのような形で効果が出てくるのかはわからないが良い方向へシフトすることは間違いないだろう。特に冬季の大気汚染の軽減になつながればと思っている。

 ところで、昨シーズンの冬は寒かった。今シーズンはどうなのかはまだわからない。今年の冬は石油の高騰もあるが拙宅では石油ストーブが暖房の主力であるために、使わなくてはならないことは確かである。エアコンに比して、やはり赤々と燃えるさまは暖かさをも演出してくれるのだ。

 しかし、この石油ストーブは以外にも厄介な性質を持っている。燃焼により二酸化窒素を吐き出すのである。密閉した室内で長時間換気をせずにストーブをつけっ放しにしたらどうであろうか。二酸化窒素の濃度は相当に高くなる。筆者が簡易測定装置を用いて六畳用の石油ストーブを1時間半換気を行わない木造住宅の六畳間で測定したところ、なんと交通量の激しい交差点脇並みの二酸化窒素濃度となっていることを確認した。放置すればさらに濃度は上昇していたことが予測できる。
 
 ストーブだけではない、台所のガステーブルの燃焼も空気中の窒素を燃焼させてしまい二酸化窒素を放出する。台所で調理をしながら石油ストーブをつければどうなるだろうか。
 学会で「主婦のほうが室内で二酸化窒素の暴露量が高くなっている」を聞いた。それは自宅室内で過ごす時間が多くまた、調理を行っているからと指摘されていた。室内の二酸化窒素が直接原因で健康影響が出た事例は筆者は今のところ得ていない。
 
 室内の空気も燃焼が伴えば二酸化窒素で汚染されるということを意識しておくべきである。注意すべきは、換気である。気密性が高い住宅であればあるほどそうである。調理をするときは換気扇をつける、石油ストーブを使用する際には換気に努めるなどして、健康を損ねぬようにしていただきたい。

 一部誤解が生じて、混乱するといけないので補足しておくが、石油ストーブであっても外部換気型形式のものは外気に二酸化窒素が放出するので室内汚染はない。またガスストーブは基本的に燃焼の際に空気中の窒素を燃やしてしまうので二酸化窒素が生じる。燃料に由来は少ないと考えられる。もちろんガスストーブも外部換気型であれば室内の汚染はないことを付け加えておく。

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