花火はきれい(清浄)か
先月、季節はずれの花火が打ちあがっているのを眺めることがあった。花火と言えば、夏の風物であり、春先に打ちあがっているのを眺め、実に季節感が感じられないと言う、妙な感じを受けたのを覚えている。
本格的な夏になるまで、しばらくは待つことになるが、今年の夏も昨年同様暑くなるのだろうか。ともあれ、暑い夏の夕涼みには、花火大会と相場が決まっている。浴衣で、花火を見ながら冷たいビールでもあれば言うことはない。
大きな打ち上げ花火の花火大会だけが花火じゃない。夏は海、山、キャンプ場、公園などで、皆でワイワイ楽しむ花火大会という向きもある。ホームセンターへ行けばいろいろな種類の花火が大量に市販されている。ある程度大きい打ち上げ花火から、もちろん小さな子供が遊べるようなものまでだ。コンビニエンスストアでも容易に手に入る。
さて、花火は火薬が燃焼していることを知らない人はいないだろう。花火は火薬が燃えることで、綺麗な色を出すことができるのだ。この綺麗な色の元は金属化合物を配合することにより出すことができる。昔、高校で化学の時間に炎色反応を習っていればその応用であると理解していただきたい。銅が緑色、ストロンチウムが赤、ナトリウムがオレンジなどなど。それぞれ発色はきっと花火屋それぞれの秘密になっているのだろう。
この綺麗な花火、厄介なことがある。火薬が燃えると普通にコンロのガスや石油ストーブが燃える以上に強力な酸性ガスを撒き散らすのである。
簡単な火薬として用いられている黒色火薬のを例にとると、その原料となるのは、木炭、硫黄、硝石である。
これらが燃えると、硫黄によって硫黄酸化物、硝石から窒素酸化物といった具合に酸性ガスを発生させる。燃焼は爆発的だから、いっぺんに大量に発生させる。また、大量の粉じんも発生させる。
環境実験教室でよく実施している、物の燃焼と大気汚染をテーマにした実験の一つに、極端な例として、線香花火を燃焼ビンの中で燃やし、その燃焼ガス(煙)を調べさせるものがある。
湿らせたPh試験紙に100mL程度の燃焼ガスを反応させる。するとpH1近くにPh試験紙の色が変わる。また、ガラス繊維ろ紙で同じく100mL程度吸引すれば、こげ茶色の粉塵が大量に採取できる。この実験を子供たちにやらせると皆ビックリする。
以前、「室内の二酸化窒素被爆」で二酸化窒素の話をしたが同様に、この煙を吸い込むのは健康に好ましくない。まあ、花火大会に行って見物をしていて、上空で炸裂した花火の煙を吸い込むことは風向きが悪くて見物場所に舞い込んでこない限り、大丈夫だろう。
結構危ないのが、手持ちの花火かもしれない。大量の煙が手持ち花火から発生するわけで、吸い込むリスクはとても高くなる。この煙を吸い込むのは、かなり呼吸器に悪い。大量に高濃度の煙を吸い込んでしまったら急性の呼吸器疾患も警戒したい。喘息を持つ方は大人子供によらず、まず避けていただくのが無難であろう。
ついでに言えば、花火大会の煙が雲に取り込まれて、雨となれば酸性雨になる。ちょっと天気の具合の悪いときに花火大会があって、もしも、ポツポツと雨が降ってきたら、かなり強い酸性の雨と思ってよいだろう。
「玉屋~!鍵屋~!」 花火大会で遠くの花火を眺めるのはとても楽しい。しかし、ちょっとだけ思ってほしい。大気中に大量の酸性ガスを撒き散らしていることと、燃え残った花火の残骸が撒き散らされていることを。楽しい花火大会に水を差すつもりはない。が、考えれば考えるほど、花火が色あせ見えるかもしれない。















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